プロジェクト認証とは
プロジェクト(建築物、船、芸術作品など)そのものを認証する制度
プロジェクト認証とは、通常のFSC製品を認証する場合に必要なCOC(Chain of Custody:加工流通過程の管理)を取得せずに、プロジェクト(建築物、船、芸術作品など)そのものを認証する仕組みです。
もちろん原材料の50%以上がFSC認証木材であること、それ以外の部分についても基準は設けられていますが、一連の工程に関わる全ての事業者や個人などがCOC認証を取得する必要はありません。
有名なものでは、2012年のロンドンオリンピック公園がプロジェクト認証を受けており、日本でも2016年4月までに13件のプロジェクトが認証されました。その例として、2010年に完成した静岡県浜松市天竜区役所の新庁舎(一部)や、WWFジャパンが2006年に製作したサバニと呼ばれる沖縄で古くから使われてきた木造の小型漁船などがあります。
プロジェクト(物)を認証するので、その都度審査が必要
事業体を認証するのではなくプロジェクト(物)を認証する点がポイントです。それに伴い、一度しか作らないものに対しての認証なので1回のみ(その都度)有効です。
COC認証が必要なく、継続審査が不要な点もメリットですが、COC認証でチェーンを繋げれば繋ぐほど認証費用も安価になります。COC認証の事業体はリスクが小さいとの判断で、書類審査になるケースが多いことが安価になる理由です。
プロジェクト認証取得のメリット
建築物などの差別化ツール
建築物などの差別化、環境付加価値を高めるツールとしてPRする事ができます。店舗などは企業価値やブランドイメージを向上につながります。
SDGsへの参加
FM認証を取得する事によって、SDGsの15番「陸の豊かさを守ろう」以下様々な番号に貢献します。FSC事務局からも詳しい資料が紹介されています。
SDGsの達成に貢献するSFC
建築物などに違法伐採材などの調達リスクの回避
EUでは、違法伐採材調達に関して罰則規定のある法律があり、米国でも同じく罰則規定のある法律が存在します。日本も法律は施行されましたが、罰則規定が無く周知が進んでいないのが現状です。しかし、今後日本でも規制が厳しくなれば、優先的に調達されることが予測されます。
流通の繋がり強化
FSC認証は、同じ理念を持ったFM認証からCOC認証取得者へと木材などが流通していきます。認証材を通してサプライチェーンのつながりが強くなり、情報収集や発信、イベントなど協業などができやすい関係を構築しやすくなります。
プロジェクト認証の課題
国内では紙製品に関しては上場企業はが調達目標に上げるなど認知や調達が進んでいますが、木材製品に関してはまだまだ認知や需要は少ない状況です。(プロジェクト認証件数は、2019年5月現在35件)
また、審査には費用と事務作業が必要で、この点も認証製品に転嫁する事が難しい課題があります。また、FM認証やCOC認証より継続審査費用が必要ないメリットはありますが、プロジェクト認証の認知度はまだまだ低い状況です。